確かな災害の備え(平成29年11月号) 芽室町長 宮西 義憲

昨年の災害復旧・復興は、今も河川・築堤・橋梁・農地などで続いている。
 今年9月18日には、残念ながら台風18号の被害が、昨年と同じ場所で発生した。
 その迅速な復旧計画づくりに奔走しながら、もはや台風による自然災害は、当地でも毎年あってもおかしくないことを痛感した。
 本町は、昨年の台風被害の現状を分析し、住民の皆さんが「自分の生命は自分で守る」ことをめざし、防災訓練の充実・強化に努めている。
特に9月を防災月間と位置づけし、3日には全町対象の防災訓練を、そして24日には市街地西地区を対象に、水害想定の避難訓練を実施したが、実施後は意見交換もさせていただいた。
 また昨年、災害の避難所運営は町職員が行ったが、災害発生時の職員の動きを考えるとき手が回らないこともあり、7月から4回にわたり、自主防災組織・町内会などの参加や専門家のご指導のもと、「住民参加の避難所運営マニュアル」の暫定版を完成したとろである。
 一方町職員は、国や北海道の災害訓練に積極的に参加する一方、芽室町災害対策本部の各部訓練などを、本年7月以降14回実施し、9月には「救助ボート」の購入にあわせシーズン終了の学校プールで、操船訓練を行った。
 昨年の、あの日の緊張感が、住民みなさん及び町職員の記憶から失われないうちに、より安全・安心をめざして、この町の災害の備えを少しでも確かなものにしたいと思っている。

ゲートボールの未来を見た(平成29年10月号) 芽室町長 宮西 義憲

「1番、第1ゲート通過!」審判の凛とした声が、コートいっぱいに響く。
 生誕70周年を記念して、9月23・24日、全国のトッププレーヤーが本町に集まり「文部科学大臣杯第33回全日本ゲートボール選手権大会」の熱い戦いが開始された。コートの周りには、椅子をもって整然と並んだ観客の姿があった。「この観客の姿は、発祥の地芽室町にしか見られない」ものと、公益財団法人日本ゲートボール連合のスタッフが指摘する。
 試合中は、主将の冷静な指示が聞こえるだけだ。あとは高い集中力なのだろうか、選手は主将とアイコンタクトし、黙々とボールを打っている。観客も咳払いすらできないような緊張感にまき込まれている。そしてチャンスを引き寄せると、メンバーが一丸となって一気呵成に加点する。コートの隅から隅まで自由自在にボールを送るテックニックには、どよめきが起きた。本大会を目の当たりにし、ゲートボールのイメージが大きく変わった。
 アスリートとして、高いテクニックを見せるプレーヤーに、ゲートボールの新しい領域を見た気がする。スポーツの多くがそうであるが、トップアスリートから学ぶことは多い。チーム全員が信じあい、補い合うことだ。そこにはメンバー同士の限りなき信頼があり、喜びや輝きがある。
 ここに、叱責も怒号もないゲートボールの未来を見た気がする。

あの日から1年(平成29年9月号) 芽室町長 宮西 義憲

昨年8月の、未曽有の大災害から早くも1年が経過した。
 誰も経験したことのない豪雨が、本町に与えたダメージは、産業・経済、生活・文化などに大きなものがあった。
 しかし被害を受けられた皆さんの、不撓不屈の精神が支えとなり、本町の復旧・復興は順調である。ただ、農地客土後の地力回復を考えると、未だ道のりは遠い観があり、客土を終えた被災農地には、「農地耕作条件改善事業」という土地改良事業を導入した、土づくりを考えている。
 本町は、被害後直ちに町民アンケートを実施し、「災害対応の検証」を実施した。
第三者の視点を重視するため、大学教授や、国・道の職員に委員を委嘱した。
 その結果が、本年4月報告されたことから、今までの災害対策をより強固なものとすべく、現在「芽室町地域防災計画」などの改正・改革を推進中である。
 さらに、避難勧告などは、本町独自に1ランク前倒しして早期化することを決定した。また避難所は、町民の皆さんの手で自主的に運営するマニュアルを、町民参加の下で作成中である。
 天候異変や局地災害は、今も全国で発生している。
 あの日の教訓を活かし、本町が災害に強いまちづくりをめざすことは、これからも大きな課題と考えている。 

新年度予算の要請(平成29年8月号) 芽室町長 宮西 義憲

7月は、2週続けて国の関係機関などへ、新年度予算にかかる要請活動を実施した。
19日からは、北海道の「治水・ダムおよび災害復旧対策」にかかわる関係市町村長による要請活動であり、国土交通省や農林水産省そして財務省のほか、衆参の関係議員の皆さんを訪問し、北海道の実情を訴えながら予算措置をお願いした。
また次の週の26日からは、十勝の全市町村で組織する「十勝圏活性化推進期成会」による北海道と国に対する要請活動である。
猛暑の中で流れる汗を拭きながらの要請活動は厳しくもあるが、昨年の台風被害の復旧を心配していただき「復旧・復興は順調に進んでますか?」とか「農業王国で、被害による離農がないことは、すごいことですね…!」など、応援のメッセージをいただいた。今年被災された皆さんと、復旧・復興元年と位置づけて全力を挙げている最中であるため、実に力強い。
 農林水産省へ行くと、当然のことのように「今年の小麦の作況と、刈り取り状況はどうですか?」と気にかけていただいた。前日ホテルから担当課長に電話し小麦の収穫情報を確認していたことから、その最新情報を報告した。  
 昨年の秋、首都圏で野菜の品薄と価格高騰があり、十勝産野菜のシェアの高さを知らしめたことを、災害という厳しさの中でプラス思考にとらえながら要望活動を終えた。 

虹の架け橋(平成29年7月号) 芽室町長 宮西 義憲

6月のある雨上がりの夕方、何とも美しい虹が鮮明なアーチを描いて輝いていた。しかもその完璧とも思えるアーチは珍しいダブル構造である。
 一瞬幻想的な光景に息をのむが、今夜はこれから、国際姉妹都市アメリカのトレーシー市から、10人の中学生を引率してこられた3人の方々との会食がある。だとするとこのアーチは、トレーシー市と本町を結ぶ、人と人そして信頼と信頼の「虹の架け橋」だ。
 トレーシー市の引率者と、中学生教育の話題で盛り上がりながら、彼らもまた、この虹の美しさを同様に感じてくれていたことがとてもうれしかった。
 トレーシー市の10人の中学生が本町で滞在する6日間、ホームステイ先の中学生やそのご家族、さらに訪問先の学校で中学生と交流する体験メニューなどは、実に多様なものがあり、多くの感動が交錯する。
 その中でトレーシー市の中学生、本町の中学生一人ひとりの心に確実に刻まれた感動は、興味・関心・理解・信頼・平和・夢・希望・友情・笑顔・人間愛など、さまざまではあるが、このさまざまな感動こそ、虹の7色の輝きのようでもある。
 お互いの国の未来の担い手である彼らが、グローバル社会を生き、今回の貴重な体験を通して「虹の架け橋」を超え、新しい未来を創造してほしいと強く期待するものである。
 そしてトレーシー市と本町の交流に、今年もまた芽室町・トレーシー市交流協会(会長福井栄子さん)に、強力なサポート体制を築いていただいたが、とてもありがたいものだった。

めむろ農業小学校(平成29年6月号) 芽室町長 宮西 義憲

本町の基幹産業は農業である。
農業に触れ五感を刺激し、発見、驚き、感動を体験して農業を理解するため、毎年小学生を対象に、「めむろ農業小学校」を開校する。
 今年5月の開校式には、49人が入校した。子どもたちは2学級に分かれ、担任はじめ15人の先生の支援をうけて、「学級の畑」ではピーマン・ナス・トマトを育て、「みんなの畑」では全員で力を合わせ、馬鈴しょ・スイートコーン・えだまめ・かぼちゃ・ごぼう・落花生・大豆そして小豆を育てる。
 農業小学校長は私であるが、教頭・担任などの先生は、上伏古地域の若き農業後継者たちだ。先生に導かれ、長靴をはいて泥まみれになりながらも、どこか楽しそうに額に汗する子どもたちの姿がまぶしく輝く。この小学校は、12月上旬の終了式まで9回の授業を経て、秋には馬鈴しょ・スイートコーンなど収穫したての新鮮な野菜を、畑でシンプルに料理し素材のおいしさを味わうほか、調理実習では、収穫した作物を使ったメニューをみんなで考えて料理する。夏には、お泊りのアグリキャンプを開催するが、先生の畑を見学し、大きなトラクターに試乗する緊張や興奮の表情は、農業の次世代の担い手の顔に見える。
 今年もまた、子どもたちが収穫した新鮮な野菜が豊かな味覚を主張し、その味覚を料理した子どもたちが、得意満面で頬張る豊穣の秋が待ち遠しい。
 このまちで、「農業小学校楽しかったね!」「農業大好きです!」と言ってくれる子どもたちが、一人でも増えるといいな。

「まちの木かしわ」の記念植樹(平成29年5月号) 芽室町長 宮西 義憲

4月15日、設立30周年となる東京芽室会総会が、40人近くの会員ご出席のなか盛会に開催されました。
 本町から、広瀬町議会議長、谷口商工会長、鈴木観光物産協会会長、竹内農協理事、そして私など総勢8人が出席し、ふるさと情報を発信してきました。
 総会では、会員の皆さんから「まちの木かしわ」を寄贈する目録をいただきました。
 また、私はあいさつで昨年の台風10号の被害で大変なご心配をいただいいたことから、被害の実情と被災された方の頑張り、そして今年度予算は「本格的復旧復興の元年」と位置づけて推進していることを報告しました。
 そして、寄贈いただいた「まちの木かしわ」は、大変うれしいことに、5月9日(火)芽室公園に14人の会員が来町され、記念植樹をしていただくことになりました。
 「植樹に行くから、家族や親戚そして友人に会うことも楽しみですよ」と、にっこりほほ笑んだ方もおりましたが、なにより、ふるさとの山河を想い、ふるさとを愛する多くの会員皆さんにとって「ふるさと芽室」に自らの足跡を遺したい、その思いの現れが「まちの木かしわ」の植樹であることを強く感じさせられました。
 芽室会の皆さんにとって、遠く離れても、自ら植えた「まちの木かしわ」が、ふるさと芽室をいつも見守っている。そんな記念植樹にしなければならないと思います。

復旧の体制(平成29年4月号) 芽室町長 宮西 義憲

3月22日町議会定例会が、平成28年度から継続実施する災害復旧の橋梁工事請負契約締結4件などの議案とともに、平成29年度の予算を賛成多数で可決して閉会した。
 申し上げるまでもなく新年度予算は、昨年の災害から立ち上がるための「本格的復旧予算」
として編成したものである。その実現に、役場内部の組織体制を強化すべきものと考え、4月1日付の人事異動を発令した。
 昨年10月には、災害を担当する総務課に、復旧・復興を担当する参事(課長職)を配置した。そして新年度を迎えた今、災害復旧をより一層進め、甚大な農地被害などを回復するため、農林課に土地改良業務担当の主幹(課長補佐職)を、そしてラインスタッフとして副主幹(国土交通省から派遣)と主査(北海道土地連から派遣)を配置した。この体制をもって、災害復旧後の農地の土づくり事業などにつないでいくことを考えたものである。
 さらに、建設都市整備課にも、災害復旧の土木部門を担当する課長補佐を置いた。美生川、
ピウカ川、芽室川の上流域では、越水が原因の農地被害が多く発生したが、その再発を防ぐため、中長期的視点に立った措置としたものである。
 そしてこれらをもって、「本格的復旧元年」の新年度を、緊張感とスピード感を持って歩むための体制としたものである。