町立芽室病院だより 第22号 

シリーズ4 「どうしよう胃の不快」 (内科医長 佐藤 剛利)

<胃部不快感>

 これは外来でも良く聞かれる症状の一つです。これには、胃痛、胃もたれ、吐き気、嘔吐、胸やけ、胃の重苦しい感じ、胃部膨満感などいろいろ含まれるでしょう。これらの症状で病院に受診されたときつぎのように訪ねられるでしょう。

1.「何を食べましたか?」
 同じものを食べた人はいますか?古いものは?生ものは?など

2.「症状が出るのは食前(空腹時)か食後か?
 食前なら胃潰瘍や胃炎を。食後なら胆石、膵炎、胃下垂など。
 食事に無関係なら寄生虫や神経性胃炎、はたまた狭心症などの心臓病も頭に入れておかなければなりません。

3.「以前にも同じ様なことがありましたか?」
 胃潰瘍や胆嚢炎、膵炎、慢性胃炎などは再発することが普通です。

4.「症状は持続的か断続的か?」
 アニサキスなどの寄生虫は痛みが出たり収まったりと断続的です。
 アレルギー反応としてのかゆみを伴うこともあります。

5.「最近多忙ですか?」
 ご存知のように胃は精神的・身体的ストレスにたいへん敏感です。
 胃潰瘍の発生とも相関します。

6.「下痢は?便秘は?」
 下痢があると細菌やウィルスの感染を。
 便秘があれば便を出そうと腸がしぶり、同時に胃が強く収縮して痛むこともあります。

※他にもありますが問診だけでも案外病気はしぼられるものです。

<検 査>

 胃であれば胃カメラは避けられないでしょう。胃のバリウムに比べ情報量では断然勝っています。胆嚢や膵臓などを調べるなら、超音波検査(エコー)やCT検査が向いています。

・検査で診断できた場合(器質的疾患。つまり画像検査でとらえられる病気)
 そこをめざして治療さえすればいいわけですから方針が立ちやすいです。
 胃潰瘍、胆石、膵炎など。
 
・検査で異常がないとき(機能的疾患。つまり目で見えるものが無い病気で自律神経が関与)
 問診をより重視します。
 胃では胃がジリジリする胃酸過多。胃の動きが不規則で胃がしぼられる胃運動能亢進。胃に食べ物がいつまでも残るため胃のもたれ間や膨満感がみられる胃排出能低下などがあてはまります。
 これらの状態は精神面も入り交じり、マニュアルどおりの治療ではうまくいかないことが多く、何度か通院をくり返す必要性がでることもあります。また、規則正しい生活習慣を送ることがもっとも大切であることは言うまでもありません。最後に胃にまつわる話をさせていただきます。

<胃のはなし>

1.ピロリ菌
 最近このばい菌が胃の中にいついて胃炎や胃潰瘍の原因のひとつになっていることがわかってきました。この菌は自分でアンモニアを産生し、胃酸を中和して胃の中にいつづけることができます。この菌が胃・十二指腸潰瘍の場合、この菌を排除する治療(除菌両方といい、1週間薬を内服します)をし、排除成功例においては90%〜100%潰瘍の再発がなくなります。またこの菌と胃ガンとの関連性については研究段階です。今後、機会があれば詳しくお伝えします。

2.胃カメラは受ければ受けるほど楽になる?
 これはほとんどないでしょう。経験というものが精神的には若干楽にするかもしれますん。1回目からゲーゲー言わない方はほとんどそのまま。ゲーゲーする方は何回でもやはりゲーゲーでます。また、せき込む場合がありますが、これは検査中にたまたまのどにたまったよだれが気管に一滴でも入ると出てしまいます。同じ患者さんでもそのときによってせき込んだりせき込まなかったりします。これは正直なところ技術うんぬんではなく、防ぎようがないものです。

3.胃カメラを受ける患者のつらさがわかるか?
 よくわかります。大学の消化器科入局時、強制的に1年目の医者同士で胃カメラの飲ませあいをしました。数日間声が出ない者、のどが腫れ上がった者もあり、それはひどいものでした。その後、私事ですが何人かのベテラン内視鏡医にやってもらいましたが、必ずそれはそれはひどいゲーゲーで、もしかして私が芽室一へたな患者じゃないかと自負しています。

4.異物
 毎年何例か遭遇します。魚骨、寄生虫、PPT包装(薬の入っているパッケージです)、コインなどを飲み込んでしまった例です。その他、変わったところではコップのガラス片8個というものがありました。一例、魚の大きなアゴの骨を飲み込み食道から大動脈に突き刺さり出血死した症例を経験しています。丸飲みグセのある方は注意です!

5.医は心の鏡
 医者になって間もないころ、当時の教授がこう言いました。「医者は患者さんに病気を与えてはならぬ。簡単に”胃下垂ですね”などと言うのは、もってのほか。”胃下垂”と言う言葉が患者さんの頭にこびりつき、精神的な要素の強い胃の症状をますます増強させるだけではないか!」この言葉はいつまでも忘れがたい。胃は心の鏡である。


医療現場右往左往

<給 食 係>
 1999年も残り少なくなってきました。今年は暖かい秋のため、紅葉は期待できないかな・・・と給食室の窓から外を見ますと、来ました、来ました、雨音と共に紅葉が、病院の中で一番素敵な所。職員でも以外と知られていない穴場が給食室です。改築前は、老人ホームの壁を見ながら過ごした日々でした。少し高い芝生の上に立つ図書館と木々の四季折々に見せる景観の美しさ、そして木の下で遊ぶ子供たちの姿に感動しながら、10名の調理師と2名の栄養士で年中無休で調理室は働いています。

 日が短い今頃は、早出出勤の人たちは、まだ薄暗いうちに家を出て朝食をつくり、夕食の準備までをして暗くなる頃帰宅します。家で家事をしている人なら、すぐ調理の仕事が出来るとお考えの方も多いかも知れませんが、新米調理委員は、広い調理室のどこにどんな調理器具があるのか覚えるまで調理室の中を右往左往。機器の操作を覚え、病気ごとに分類している大きな黒板に書き込まれている食数を見ながら、食器をそろえ盛りつけます。(盛りつけのポイント、ちょっとした心遣いで、おいしく食欲をそそるものに出来上がります)

 一番苦労しているのは、不全食・透析食です。細かな単位まで要求されるので、調理員はメガネをかけ直して計量器の目盛りとにらめっこ、電卓片手に調味料の計算と気が抜けません。
 毎日の調理に追われる中、骨折で入院中の小児2人に、病院の食事が食べられるかと尋ねると、「僕たちは、魚も野菜も嫌いだよ!唐揚げやカレーライスが食べたいな」「そんな事言っているから骨が折れるんだよ。魚も野菜も頑張って食べたら、カレーライスを作ってあげるよ」と。そして退院近くに特別に作ったカレーライス、食べ終わったお膳には、ノートの切れ端に「おばさん、カレーライスとても美味しかったよ。ありがとう」とありました。そんなやさしい言葉は働く意欲の原動力となります。

 検査データが、食事と運動で改善されたと報告に来られる方や「リンが高くなった。どうしたら良いか」と顔を出されていく方。これからもどうぞ気軽に声をかけていってください。

<中央材料室・手術室>
 中央材料室は、看護婦6名、助手4名の小所帯です。いつも戸が閉まっていて、あまり他部門からは、見えない職場ですので、一日の流れを紹介します。

 出勤してくると、まず各種機械等のスイッチを入れ、各科から戻ってきたカスト(滅菌したガーゼを入れる容器)、バット等の再使用するものを廊下の棚から中央教材室の中へ入れ、一つ一つ点検し、キレイにフキフキして、再度各科へ払い出す準備をします。それぞれの科では少ない物品かも知れませんが、中央教材室に集まると山積みで、これを片づけるのに午前中は、休む暇もありません。今日は月曜日で3日分の物品が今もセンターテーブルに山積みです。カストの処理はだいたい終わり、少し世間話がポツリポツリと出ています。今日の話題は神奈川県警の話ですが、すぐに仕事の話しに戻り、ゆっくり世間話をする暇がないようです。助手さん達は、午前中いっぱい仕事をして、午後は材料作りや手術で使用した機器の洗浄、後片付けに追われ、一日が終わり帰宅します。

 看護婦は、中央材料室の仕事を午前中にこなしながら、手術室の中では午後の手術準備。「今日は何時頃帰れるかなぁ」と思いながら仕事しています。手術はほとんど毎日のようにあります。毎日二例ほど行う静脈瘤の手術。毎日毎日しても途切れることはありません。十勝以外からも手術を受けに来られる患者さんもいます。なんと沖縄から来られたという方もいます。是非、手術を受けたいと言うスタッフもいますが、残念ながら手術の順番を待っている患者さんが多いため、まだまだ受けられない状況にあります。

 手術が終わると、あとは掃除、毎日毎日掃除。中央材料室に異動したばかりの頃は「この掃除どうにかならないかなぁ」と思っていました。今も痛切に思っているのですが、自分たちでするしかないので頑張っています。おかげで掃除上手になりました。

 戸を開けると、噛みつかれるのではないかと言う方もいらっしゃるかもしれませんが、噛みつくスタッフはいませんので、戸を開けて何でも気軽に申しつけてください。



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